冷凍冷蔵装置|冷凍技術、細胞に届く!進化する低温の世界
自然冷媒の冷却ユニット『バッカス』シリーズ
自然冷媒間接冷却ユニット「バッカス」シリーズは、アンモニアとエタノールを使用した地球環境にやさしい
安全な冷却ユニットです。
アンモニア・エタノールシステムの特徴
1 冷媒は今、転換期に・・・
冷凍用冷媒として昔はアンモニアが使用されていたましたが、1930年代にフロン冷媒が実用化されると、その無臭低毒の特性からCFC(R12)とHCFC(R22)が冷凍空調分野で広く使用されるようになりました。しかし、これらの冷媒によるオゾン層破壊が世界的問題となり、1995年にはR12の製造が禁止され、さらにR22についても2010年以降は新規冷凍設備への充填が禁止、既設冷凍設備においては2020年以降の新規製造冷媒の充填禁止が決められており、段階的な製造削減計画が実施されています。
このような規制はオゾン層を破壊しないHFC冷媒(R404AやR134aなど)が実用化されたことを受けて実施されていますが、この冷媒も地球温暖化係数(GWP:CO2の温暖化能力を1として比較した指数)が1430〜3920と大きいため、温暖化防止の為の排出制限の対象となり、更に新たな冷媒への転換が必要となってきています。
空調用に使用されているR134aについては、近年GWP=4という温暖化係数の小さい冷媒(HFO−1234yf)が開発されヨーロッパでは実用化が始まっていますが、冷凍用に使用されているR404AやR407Cなどについては未だ温暖化係数の小さい冷媒は開発中で実用化の見通しがたっていないため、対応に苦慮しています。HFCを使いながら低GWP冷媒の実用化を待つか、アンモニアなどの自然冷媒に戻るか・・・。今、冷媒は転換期にさしかかっています。
このような冷凍用冷媒の状況下、ニッシンでは柔軟な対応をするべく、フロン冷媒と自然冷媒の両面で対策を検討しています。
2 アンモニア冷媒システムの比較
自然冷媒で最もポピュラーなものはアンモニアです。アンモニア冷媒はオゾンも破壊せず温暖化効果もありませんが、強烈な臭い、毒性、若干の可燃性があるため、安全面で検討する必要があります。各アンモニア冷媒システムの特徴を比較すると下記の通りになります。
二段圧縮システム
CO2冷媒による間接冷却システム
通常ブラインによる間接冷却システム
各システムの比較
※CO2の問題点
- 1)CO2を二次冷媒として使用するにもかかわらず、高圧仕様の機器が必要。
- 2)冷却停止時もCO2圧力管理が必要となり、システムも複雑となる。
CO2を-5℃以上に温度上昇させることができないため、
下記の何れかをおこなう必要があります。
- 1.システムに膨張タンク(液化CO2の150倍の容積)を組み込む。
- 2.CO2系内圧力上昇時にNH3冷凍機を運転する。
- 3.温度保持用小型冷凍機を組み込む。
- 4.長期停止時にCO2を大気放出する。
3 ニッシンの自然冷媒間接冷却システム
ニッシンの自然冷媒冷却システム「バッカス」は、冷蔵庫を冷やす媒体に「エタノールブライン」を使用することによって安全性と保守性を確保しました。
バッカスには、ブラインのほかにもまだ特徴があります。
エタノールブラインは危険?
国際化学物質安全性カードによると
- ・22℃以下・・・・・引火の心配なし。
- ・22℃以上・・・・・空気中濃度が3.3%以下なら引火しない。
59%エタノールの引火点は22℃(空気中濃度3.3%)。
⇒換気で対処できる。
(参考)CO2の国際化学物質安全性カード記述
許容濃度は5000ppmであるが
「物理的危険性」空気より重く、天井が低い場所では滞留して酸素欠乏を引き起こすことがある。
「吸入の危険性」容器を開放すると液体がきわめて急速に気化し、閉ざさた場所では空気を追い出し、
窒息の危険を生じる。
⇒CO2の場合、大気圧での沸点が-79℃と非常に低いため、漏えいすると全てガスとなる。
CO2ガスは空気よりも重いため室内では下に溜まる。